熊本地震後の熊本城と多くの文化財建造物
1.指定文化財の一歩手前で 2015年夏、5名の学生とともに実測調査をスタートした。 熊本城も明治時代を迎え、城内にあった家老屋敷も外へ移動せざるをえなくなった。明治5年(1872)、城の北にある屋敷にすむことになり家老が建てたのが今回調査する建物であった。大きな池や築山のある庭園が今でも広がる。建物は庭のすぐ東に建つ。本来は庭の南にあったらしいが昭和初期に現在の場所に曳家したという。...
都市史研究の新展開へ
法政大学陣内秀信研究室による長期にわたる一連の研究については、数多くの著作、報告書に示されてきている。その研究展開の軌跡については、近刊の陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』弦書房(2015年10月5日)に示されており、本欄でも紹介したところである(http://touron.aij.or.jp/2016/01/150)。『東京の空間人類学』(1985/ちくま学芸文庫1992:“Tokyo, A Spatial...
地盤変状で戸建て住宅が全壊するか?
1.はじめに 2016年熊本地震では益城町らで多くの戸建て住宅が倒壊し、多くの人命が失われた。建物の被害要因として地震動のみならず、「地盤変状」も指摘されている。本稿では、地盤変状が戸建て住宅被害に及ぼす影響を、戸建て住宅基礎の変遷とともに考える。 2.過去の大地震における被害事例...
過熱するオーストラリアの集合住宅市場
1.はじめに 現在、オーストラリアは自他ともに認める住宅ブームのさなかにある。その背景には、安定的な人口増加、シドニー、メルボルンなどの主要大都市への人口流入、個人投資家に有利な所得税制などの要因があるが、近年はそれらに加えて移民の増加、海外からの投資の増加が大きく影響しているとされる。...
最近のコメント