建築作品小委員会選定作品 / 縁と新たな共同体
《渥美の床》《プレゼント・シングス》 403architecture [dajiba]
《The Floor of Atsumi 》《Present Things》 403architecture [dajiba]

渥美の床 / The Floor of Atsumi

Bedroom in Housing
Hamamatsu, Japan (2011)

築40年を超えるRCマンションの一室の、床の計画。若い夫婦が住み始めるにあたって、機能の変更に伴い天井が解体され、一定量の木材が「廃材」として発生していた。これを「新しい床」の材料とすることにした。断面の大きさの異なる木材を短手方向に裁断していき、畳と入れ替えるかたちで、床に敷き詰めている。それぞれ経年変化によって色味に差があるが、表面に現れるのは全て真新しい切断面であるため、古さと新しさの混在したテクスチャーとなった。木口面を床として用いることで固く、反りや割れが起こりにくく、厚みもあるため遮音性にも優れるという特徴を持っている。天井を落として床にするという、壊すこととつくることが直接的につながったプロジェクトとなった。

©kentahasegawa 表面はヤスリ掛けを施している

©kentahasegawa 表面はヤスリ掛けを施している

©kentahasegawa 天井材を落として床に敷き詰めている

©kentahasegawa 天井材を落として床に敷き詰めている

©kentahasegawa 木片がつくる微細なランドスケープ

©kentahasegawa 木片がつくる微細なランドスケープ

所在地:静岡県浜松市
竣工:2011年
主要用途:寝室
建主:個人
設計監理:403architecture [dajiba]

プレゼント・シングス / Present Things

Exhibition
Yamaguchi, Japan (2015)

「もの」と「あそび」を考える展覧会の会場構成。使用したのは、近隣の廃校となった小中学校や、使われなくなった公民館の、机や椅子、棚、ロッカー、建具などである。それぞれ反復して結合され、山や川、森や洞窟などの自然そのままの状況と、公園に設置してあるような、特定の遊び方が決まっている遊具の、中間のような「環境」となることを意図して構成している。学校や公民館といった子どもにとって身近な場所にある様々な「もの」が、元々の意味を残しながらも、その機能が宙吊りになった状態で「あそび」のための環境となっていたことで、日常生活のあらゆるところに、根源的な「あそび」の世界の扉を見出してくれるようになることを、期待したものである。

©kentahasegawa 市内の廃公共施設で使われていた建具を再編集した

©kentahasegawa 市内の廃公共施設で使われていた建具を再編集してつくられた「森」

©kentahasegawa テントやロッカーなどを転用し、プレイグラウンドの環境をつくっている

©kentahasegawa テントの「滝」やロッカーの「岩」など、資材の転用によってプレイグラウンドの環境をつくっている

©kentahasegawa 公民館で使われていた布団を転用した暗室、オフィスデスクでつくられた舞台

©kentahasegawa 公民館で使われていた布団を転用した「洞窟」、オフィスデスクでつくられた「丘」

所在地:山口県山口市
竣工:2015年
主要用途:プレイグラウンド/展覧会会場構成(展覧会名:Think Things -「もの」と「あそび」の生態系-)
クライアント:山口情報芸術センターYCAM
設計監理:403architecture [dajiba]

辻琢磨

建築家。1986年静岡県生まれ。2010年横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA 修了。2010年Urban Nouveau。2011年メディアプロジェクト・アンテナ企画運営。2011年403architecture [dajiba]設立。2015年大阪市立大学非常勤講師。2015年滋賀県立大学非常勤講師。主な作品:《渥美の床》、《海老塚の段差》など。《富塚の天井》にて第30回吉岡賞受賞。

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