建築家自邸シリーズ「建築家の自邸」シリーズにむけて
■建築設計計画評価小委員会 主査 加茂紀和子(みかんぐみ共同主宰)
このシリーズは、建築設計計画評価小委員会(2008年〜)がおこなった建築家の自邸を巡るインタビューを通じて、建築家(設計者)=施主・生活者という特殊なケースで成立している住宅を読み解こうという試みの記録である。
全10件のうち、初3件については既に建築雑誌(2009年1月号、5月号、9月号)に内容を掲載しているが、その後、全体をどのように取りまとめてゆくか模索期間をへて、この度、WEB版『建築討論』に発表の場をいただくこととなった。
建築計画論という視点から住宅を語ることができるか?というのが発端であったが、特異ケースである建築家の自邸と言葉を通じて見えてくる普遍性や、時代性はあるのか、計画の肝(こだわり)がどのような全体をつくるのか、あるいは建築家の論理性と実際の乖離や経年による住空間と建築家の変化とはなにか、建築家の自省、実験と実践、現れ方の検証等、一筋の論にまとめることは難しい。
さておき、建築を志す学生であれば、いつかは自分の家を設計するのだろうと漠然と思っていると思う。自分の家を設計するプロセスは果てしない。もちろん、土地や予算、時間の制限があるのだが、思考は無限であるのだから大変だ。だからこそ、それを経た住宅には面白さがあると踏んだ。それを見てみたいというのが本音。実際にそこで何時間かお邪魔して、体感し、考えてみる。その時間の記録として読んでいただければと思う。
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