書籍紹介
『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』
パトリック・ゲデス著 西村一朗訳 鹿島出版会 2015年11月20日

図1

著者パトリック・ゲデスは、スコットランド・アバディーンシャイア出身の都市学、都市計画学の大家として知られる。生物学、植物学を出自とするが、その活動は地域学、都市学へ展開、具体的な実践活動を多様に展開した。その足跡は、スコットランド、アイルランド、フランス、インド、バレスチナ、イスラエルにまで及ぶ。都市学の大家L.マンフォードは。P.ゲデスは師と仰ぐ。また、20世紀の都市計画運動に最も影響力を与えたエベネザー・ハワードと共に近代都市計画の祖とも言われる。

原書の初版が上梓されたのは1915年である。1968年に再版され、その邦訳が1982年に出版されている。本書は、原書出版百周年を記念する邦訳の改訂・復刻版である。全体は18章からなるが、ベースになっているのはエディンバラの経験である。P.ゲデスの活動は、その後のインド、パレスティナでの展開を含めて実に興味深い。
P.ゲデスが徹底的に批判したのは、スラム・クリアランス型のマスタープラン主義である。オン・サイト(現場)での保存的外科的改善手法(コンサバティブ・サージェリー)には、今日猶学ぶべきものがある。それを願うのが改訂・復刻出版の企画である。

著書紹介
パトリック・ゲデスPatrick Geddes(1854~1932)。
主要著書:Life: Outlines of General Biology (1931) with J.A. Thomson, Harper & Brothers, London./The Evolution of Sex (1889) with J.A. Thomson, W. Scott, London./City Development, A Report to the Carnegie Dunfermline Trust (1904), Rutgers University Press./Cities in Evolution (1915) Williams & Norgate, London./The life and work of Sir Jagadis C. Bose (1920) Longman, London./Biology with Thomson (1925) Williams & Norgate, London.

布野修司

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