大学出版会にあって、長年、学術書の出版に関わってきた著者による「学術」論、「学術書」論。
冒頭、序章は、「Publish or PerishからPublish and Perishの時代へーなぜ、学術書の書き方を身につけるのか」と題される。「出版(発表)か、死か」から「出版しても救われないへ」、(学術)出版会の現状が鋭く分析される。また、論文発表をやかましく迫る大学や学会の問題点が指摘される。当然、殿試化時代についても触れられる。
全体は、第Ⅰ部「考える」、第Ⅱ部「書いてみる」、第Ⅲ部「刊行する」の3部に分けられ、全7章からなる。
「企画と編成」「本文記述と見出し」「タイトルと索引」など、学術書のノウハウが懇切丁寧に説かれている。もちろん、それだけではない。学術書の今日的役割と要件(第2章「知の越境と身体化」)が力説される。
そして、「おわりにー学術書を「書く」ことと「読む」こと」によって締め括られるが、「二回り外、三回り外」へ向かって書け、 「二回り外、三回り外」のものを読め、というのがメッセージである。
研究者のみならず、書き手、読みて、編集、出版を考える全ての人にとっての必読書といっていい。
著書紹介:
- 鈴木哲也:京都大学学術出版会専務理事・編集長。大学出版部協会理事。京都大学文学部・教育学部卒業。
- 高瀬桃子:桃夭舎代表・京都大学理学部卒業。
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