木造建築研究に関する日本の第一人者による「ヨーロッパ木造建築」研究の集大成。事典あるいはガイドブック(旅の準備編、旅編、旅の参考資料編)のスタイルをとっているが、内容は、一級の学術書である。
木造建築の分布、気候と建築、植生の分布、土地利用の形態、民族的な背景、…ヨーロッパの木造建築の存立基盤がまず大きく説明される。そして、おすすめ12のルート(旅編)として、ヨーロッパ各地域の木造建築が順に紹介される。1.イギリス、2.ノルマンディ・ブルターニュ、3.フランス南西部・スペイン・バスク地方、4.シュヴァーベン地方・アルザス地方、5.アルプス山地、6.ヘッセン、ニーダーザクセン、ハルツ、テューリンゲン地方、北海沿岸、7.バルト海沿岸・カレリア地方、8.カルパチア山地、9.カルパチア山地、 10. オーストラリア・パンノニア平原、11.トランシルヴァニア地方・ワラキア地方、12.バルカン山地・黒海沿岸と分けて、それぞれの地域の木造建築の特性が説明される。旅の参考資料編は、木造建築研究のための永久保存の価値がある。
著書紹介:
太田邦夫(1935年東京~)。東洋大学・ものつくり大学名誉教授。1959年、東京大学工学部建築学科卒業、現代建築研究所入社。1961年、東京大学教養学部図学教室助手。1966年、東洋大学工学部建築学科助教授。1984年、同教授。2001年、ものつくり大学建設技能工芸学科教授。2005年、太田邦夫建築設計室~。
『東ヨーロッパの木造建築-架構方式の比較研究』相模書房、1988年(1985年度日本建築学会論文賞受賞論文)/『工匠たちの技と知恵―世界の住まいに見る』学芸出版社、2007年/『エスノ・アーキテクチュア』SD選書、鹿島出版会、2010年他。
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